moi moi moi !!

愛猫モイ(mix 2015.4.8~ ♂去勢済)が消化器型リンパ腫と診断されたのは2017年が始まったばかりの冬、1歳9ヶ月の時でした。その日から一変したモイとの生活、闘病と友情の日々。

2018年10月

今朝、久しぶりにモイがトイレ(おからの砂を入れた大きい方のトイレ)でウンチをしてくれた。排泄後トイレから逃げるように飛び出すようになったことは6月7日のブログで映像付きでお伝えしたが、その後7月18日にトイレでしたのを最後にトイレ以外の場所でするようになっていた。

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7月18日
8月28日
9月8日
10月13日
10月22日

その後トイレでしてくれたのはこの4日のみ。最近は2日に1回ペースで出ているのでかなりな回数トイレ外でしてくれちゃってる。
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トレイ以外でする確率が一番高いのは爪研ぎ用の段ボールなので最近はこんな感じでますます数が増えている。2016年末に小林賢太郎さんが打ち合わせに来た時、我が家のリビングを見て開口一番「完全に猫仕様ですねえ」と言ったけれど、今は間違いなくそれ以上だ。

長いこと観察してきてモイのトイレ事情はやはり精神的なことが一番の原因になっていると思うのだけれど、このまま少しずつでもいいのでトイレでする回数が増えていってくれたらいいなあ。

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入院していた父にiPad(セルラーモデル)を買ってあげていたのだけど、結局入院中は使わなかったようで、昨日退院して今日初めて家で触ったみたい。姪っ子が側でアドバイスしてくれたおかげでFaceTimeすることができた。
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画面に映る父はやっぱり痩せていた。退院時の体重は66.3kgだったそうだ。入院時から6.6kgも痩せている。

それでも髪の毛はまだ少しも抜けていなかったし、なによりテレビ電話が楽しそう。「父にiPad」と書いて「猫に小判」「豚に真珠」と読む、とならないように楽しんでもらえたらいいな。そのうちSNSデビューするんだろうか?

 

輸液を1日置きにして一週間。これまで1年4ヶ月ほど毎日モイの背中に注射針を刺してきたけれど、連日じゃなくなるだけでやっぱりだいぶ楽だ。

でも輸液をしない日でも薬とサプリは毎日これだけの量飲んでもらっている。
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シリンジの中身は煮出したチャーガ茶(カバノアナタケ茶)、磨り潰した整腸剤ビオイムバスター1T、AHCC、センダンの4種類をブレンドしたもの。それに皿の上の大きめのカプセルが腎臓用の乳酸菌アゾディル、その左が消化管運動促進剤プロナミド1/2T、それから先日の赤い毛玉を吐いて以来再開した胃薬ファモチジン1/4T。全7種類。これを毎晩。

これプラス隔日で皮下輸液。輸液はリンゲル液120mlで丸山ワクチンA剤B剤を交互に混ぜている。

まだ減らして一週間なので輸液しなかった日は、火、木、土の3日間だけだけど、やっぱり輸液しない日は少し自分から水を飲むことが2~3度ある。輸液を毎日していた頃は自分で水を飲むことはほとんどなかった。

これでひとまず2週間様子を見て、29日に通院した時に血液検査で腎臓の値を再度チェックしてもらう予定。大丈夫だといいなあ。

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父は今日の夕方無事に退院しました。2週間の予定が5日伸びたことになる。便秘以外の副作用はなかったらしいけれど、それでも4kgほど痩せているようでよっぽど辛かったんだろう。

また数日後にはR-CHOP療法の2クール目を通院で行う予定のようだけれど、体力大丈夫かなあ。耳が遠くないので電話で普通に話せるのはいい。入れ歯を外していると滑舌が悪くて言葉は聞き取りづらいけれど、「いわゆる〜〜」みたいな理屈っぽい話し方は昔とちっとも変わっていない。

10,14,14,21,7,14,14,14,14,14,28,14,14,21,28,42,63日

この数字はモイがこれまで行ってきた18回の免疫細胞療法のそれぞれの間隔。詳しく書くと、戻し日(2週間かけ培養したリンパ球を体内に戻す日)から、次の採血日(培養するためのリンパ球を採る日)までの日数。ずっとほぼ2週間隔で行ってきた免疫療法をここ5回ほどで徐々にペースを落とし間隔を広げていっていることを分かりやすく数値で示した。

昨年までは抗がん剤投与もあり、戻し日とバッティングしないよう(かぶるとせっかく増やしたリンパ球を抗がん剤が叩いてしまうことになるので)スケジューリングしなくてはいけなかったが、今は丸山ワクチンや日々のサプリ服用を除けば一番積極的な治療がこの免疫細胞療法で、その治療からの離脱を徐々に図っている、それだけ復調してきた、というわけです。

前置きが長くなったけど、今日はその18回目の免疫療法のための採血をするための通院。先週イレギュラーに分院へ通院した時は往路でも車窓を楽しんでいたモイだけれど、今日は鎮静剤を使うため朝ご飯を抜いたので気配で悟ったのだろう、出かける随分前からベッドの下に隠れていた。
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空腹もあってか行きの車中はご覧の通りいじけ気味。

病院は秋から予約制になったけれど待合室はそれでもけっこう混んでいた。「近藤さ〜ん」主治医に呼ばれると2つある診察室ではなくなぜかオペ室に通された。初めて入る部屋だったので少し落ちつかない状況のまま、先週火曜日の吐血の話から。

ファモチジンを毎日服用した効果もあってかその後吐きもなく先生が言っていたように一過性のものだったのだろうということに。一体なんだったんだろうという感じだがひとまずホッとした。

この件がありモイへの観察眼が高くなった今週、ちょっと気になることもあって先生に相談した。

ひとつはたまに便に黒い部分や赤い部分がまだらに混じること。普通なら気づかないレベルだけれど、毎回必ず記録として撮りためている便の写真を振り返ると、時より妙に黒い固まりがあったり、全体が少し赤みがかっているように感じる便があったことに気づく。先生に写真を見てもらう。「確かに出血の可能性はあります。黒っぽいのは胃や十二指腸で出血したものが降りたもの、赤っぽいのは腸から下、大腸あたりのものかもしれせんが、便の全体ではなく一部分なので、これが血かどうかは微妙ですね。」

もうひとつはモイがたまにする咳。頻繁にしていた子猫時代に比べると最近は月に2~3度ある程度なのだけれど、3日前の先週金曜にも咳き込んだ。その様子を録画できたので先生にも見てもらう。「猫の場合は鼻から吸うのでくしゃみが出ることは多いですが、これは確かに咳ですね。続くようであれば気管支炎や、猫の場合、喘息も多いですが、月に2~3度ということであれば、食べたものや飲んだ水がたまたまひっかかった、少しだけ喉が通りづらいような構造、体質なのかもしれませんが、とくに今これに対し治療をするということでもないかと思います。」と先生。

この時オペ室には超音波検査機がなく、いつものように立ち会ってリアルタイムにエコー画像を見ながらの診察を受けることが出来なかったので、今日はモイを預け鎮静下でリンパ球の採血をするついでにエコーも見ておいてもらうことになった。
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預ける直前。モイの寂しそうな表情がうっすら見える。
またいつもの街で待機。若干いつもより喉を通りづらい昼ごはん。待ち時間も長く感じる。

夕方、迎えに行く。

【血液検査】
  • BUN(尿素窒素)  31.3(前回 38.6)(基準値 17.8~32.8mg/dL)
  • CRE(クレアチニン)  1.9(前回   1.8)(基準値 0.8~1.8mg/dL)

  • 腎臓用の乳酸菌アゾディルを1日1カプセル服用しはじめて2ヶ月半。クレアチニンの値は今回0.1上昇してしまったが、尿素窒素の値は基準値内まで下がった。どちらも波はあるもののクレアチニン値が2回続けて2を下回ったことは1年ぶりでアゾディル(推奨は1日2カプセル)の効果が少なからずありそうだ。これを受け、毎晩自宅でやっている皮下輸液を今度こそ隔日に減らしてみる。丸山ワクチンも隔日なのでワクチンと輸液をセットで行えば2日に1度はモイに針を刺さずに済む。1年以上毎日モイに針を刺して来たが少しだけ楽になりそうだ。ひとまず2週間これで様子をみてみることに。
    • WBC(白血球総数)6240(前回 5900)(基準値 5500~19500μl)
    • 分葉好中球     2950(前回 2832)(基準値 2500~12500μl)
    • リンパ球      2680(前回 2773)(基準値 1500~7000μl)
    白血球はやっぱり少なめ。
    (余談ですが、「はたらく細胞」ってアニメ、最初の2話を見たけれど、面白いなあ。モイの白血球もあのキャラくらいカッコいいのかなあ。)
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    これまでの尿素窒素、クレアチニン、白血球の推移を棒グラフにしてみた。(注: 横軸は時間軸だけど計測日がマチマチなので等間隔ではない。)
    こうやってみると、やはり昨年3月の奇跡の復調の時の白血球数がずば抜けているのが分かる。腎臓は昨年7月くらいに悪くなった…。 

    【超音波検査】
    エコー画像を見せてもらう前に先ずは先生の見解。「ほとんど分からないですね。多分ここだろうなという場所はあるんですが、制御されていると思います。もう、だいぶ、ほぼほぼ治ってると言いたくなるくらい調子はいいんじゃないかと思います。」

    「寛解」ということばを不用意に使わないようにしているのか、少し言葉を選びながら話す先生だけれど、「治ってる」というワードが出た。むしろ、うれしい!
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    もちろん数年間の長期寛解の先に「完治」があるので、まだまだ闘病の旅、経過観察の旅は続くし、先週のように急に吐血したりしたら、その一瞬でどん底に突き落とされたような気分にこれからもなることはあるかもしれないけれど、ひとまずよかった。モイ、がんばってる!
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    次は2週間後のリンパ球戻し。ノーベル賞で話題の免疫療法。免疫チェックポイント阻害薬ではないけれど自己免疫に力を与えるという意味で活性化リンパ球療法も同じものだ。モイのはたらく細胞たち、もっともっとがんばってモイを完治へと導いておくれ。
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    お兄ちゃん、おかえり〜!

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    父のこと

    同じリンパ腫で入院中の父。初回のR-CHOP療法から数日後、便秘になり、かなり苦しんでいる様子だったが、ちょうどモイの通院中に電話があり、一週間ぶりにドバっと出たそうだ。よかった。抗がん剤ビンクリスチンの副作用で腸の蠕動運動が止まっていたんだと思う。便がたまり悪玉菌が増えると免疫力にはかなりマイナスになるし、下手したら腸閉塞にもなりかねないので便秘は実はかなり怖い副作用のひとつ。あと血糖値が大きく上下している以外は今のところ自覚的な副作用はないらしい。白血球がそれなりに戻っていればもうすぐ退院できるかもしれない。

    R-CHOP療法、減量しているとはいえ続けられるかなあ。続けるとしても2クール目以降の便秘対策が課題になりそう。 

    午前5時半、「ケポッ、ケポッ」という音で目が覚める。モイが嘔吐(えず)いている時の音で、この音が聞こえてきたらトイレットペーパーかペットシーツをなる早でモイの口元に持っていき吐物が飛び散らないようにするよう条件付けられた。たとえ寝ている時でもサイレンで飛び起きる消防隊員のようになった。今朝は寝室の横のクローゼットで吐こうとしていたところに急いでペットシーツを持っていき、かろうじて吐物を受け止めることができた。毛玉を吐いた。まだ薄暗い室内で眠い目をこすってそれを見てみると毛玉が赤い。「えっ!」「血?」「もしかして吐血?」、一瞬にして眠気が吹き飛んだ。そしてここ数ヶ月少しずつ忘れつつあった息詰まるような闘病生活が一瞬にして戻ってきた感覚。妻も起きて一緒にニオイを嗅いでみる。血なまぐさい鉄っぽいニオイ。10分後にまた水分(胃液?)だけを吐いたが、やはりいつもと違ってほんのり赤い。血が混じっているのは間違いなさそうだ。

    ここのところずっと元気だったモイ。毛並みもよく体重も増えているし、簡単に振り返っても吐血するような原因は思いつかない。頭をよぎるのはリンパ腫の再燃、転移。目の前が暗くなる。火曜日はかかりつけの病院の主治医は分院にいる日だ。ウェブサイトの予約フォームに事情を書いて相談してみる。ありがたいことに8時半くらいに返信があり朝一番に見てもらえることになった。
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    本来なら来週の月曜日にひと月半ぶりの通院をする予定だったが、思いがけず前倒しでキャリーケースに入ることになったモイ。しかも行き先は初めて向かう場所。それでも案外ケロっとしてキャリーから顔を出し車窓を楽しんでいるモイに少しだけ救われた気分。
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    診察がはじまり先ずは吐いた赤い毛玉の写真を見てもらう。「びっくりしますね、これは」と先生。「吐くということは胃か十二指腸より上のどこかに原因があると思いますが、消化管の内側は超音波では映りづらい場所なので、ひとまず粘膜保護剤で様子を見てみるのはどうでしょう」「もしそれでも何度か繰り返し血が出るようなら粘膜に何かリンパ腫も含めた異常が起きている可能性も出てきますから内視鏡を使って検査することにしましょう」「今日は明らかにおかしなものがないか確かめる意味で念のためエコーも見ておきましょう」と、胃や十二指腸の周辺を見てもらう。画像上はとくに異常は見つからなかった。ちょっとホッとした。「もし毛玉か何かで一次的に胃の粘膜が傷ついているのであれば数日もすれば粘膜は入れ替わるので治まると思います」と、以前もらった胃薬ファモチジンがまだ家にたくさん残っているので数日それを飲ませ様子を見ることになった。

    ないとは思ったけれど念の為「最近元気なのでよく同居猫(ウニ)とやり合ってるのですが、外傷から来ている可能性はないでしょうか?」と質問してみると、「それはないでしょうねえ、よっぽど強力なボディブローが入ってたら分かりませんが、それで血が出るとしたら相手はプロですね」と苦笑いの先生。

    原因がはっきりしたわけではないけれど、いつも迷いなく見解を示してくれる先生がいるだけで動揺がおさまり気持ちが楽になる。
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    突然の通院でおつかれ気味の帰路。
    帰宅後、夜まで様子を見るが今のところ吐くこともないし、極めていつも通りのモイ。あの血はなんだったんだろう。ここ数日はまたちょっと緊張しながら様子を見守ることになる。
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    リンパ腫を含めがん患者とその家族は常にいつそれが再発するかもしれないという不安と背中合わせでずっと暮らしていかなくてはいけない。そのことをガツンと感じた一日だった。

    昨日のインスタより。
    昨日3歳と半年になったモイ。闘病生活がはじまってちょうど半分の1年9ヶ月が過ぎた。
     

    前回に続き親父の話です。
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    10月2日
    親父は地元の病院の血液内科、腫瘍科の無菌病棟へ入院。この日は入院手続き後、血液検査と尿検査。それから主治医(入院に際し今回初めて担当となる若い医師)からの治療方針や入院中の心得などの説明があった。治療方針は、R-CHOP療法を入院中に1回、その後、3週間に1回通院し6~8クール。このうち抗がん剤ドキソルビシンとシクロフォスファミドは82歳という年齢を考慮し20%減量、ステロイドホルモンのプレドニゾロンは30%減量、それ以外は基本プロトコール通り行う予定、というものだった。

    8月末に行ったPET検査の報告も初めてここで受けた(順番がどうかと思うが、実家家族は仕事に追われこの日まで検査結果を聞きにいく余裕もなかったようだ)。疑わしい箇所が赤く映っている。左鎖骨周辺や肝臓に集積異常が多発、他にも複数箇所に集積があり、ご指摘の悪性リンパ腫の所見と思われます、と記されていた。

    「進行具合が気になるのですが、このひと月間にどう変化しているか治療に入る前に再検査はしないんでしょうか?」と質問すると、「我々が検査を行うタイミングは、今後の治療方針を大きく左右する段階になった時だけで、選択肢が変わらなければ検査はしない。基本的にエコーもしない、血液検査のみでおおよそのことは判断できる」とのこと。つまり先月と今月の間にリンパ腫が進行してようが後退していようがやることは変わらない、という見解。

    ベッド周りを整えていると、ちょうどこの日は週に一度だかの総回診の日だったみたいで、病室にぞろぞろと10数人の白衣の方々が入ってきて、隣のベッドの患者さんを取り囲んだ。「わ、白い巨塔みたい」と心の中でツイート。担当医から経過報告が読み上げられた後、教授と思われる石坂浩二風の方が「で、○○の数値はどうなってる?」と質問した後、「そんな時、君ならどうする?」「君は?」「君は?」と取り囲んでいる綺麗な白衣の方々を順番に指差し、一人一人が適切と思う処置法を答えるという、まるで授業でも始まったかのようなやりとりをしていて、そうかこれが大学病院かと認識した。
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    10月3日
    82歳の親父が、当時1歳9ヶ月だったモイの後輩になった日。抗がん剤初体験という意味でモイは大先輩になる。今回の入院はおおよそ2週間の予定で、その間に化学療法(R-CHOP療法)は1回しか行われない。

    R リツキシマブ(分子標的薬)
    C シクロフォスファミド(抗がん剤)
    H ドキソルビシン(抗がん剤)
    O ビンクリスチン(抗がん剤)
    P プレドニゾロン(ステロイド)

    このうちステロイド以外は今日1日で7時間ほどかけ順番に点滴で流し込む。ステロイドだけ5日間にわけ服用という形だ。モイ(猫)が行ったプロトコールは一種類ずつの抗がん剤を週替りで投与し、その都度エコーと血液検査で状態を確認していたので、効果の有無や置かれている状況も分かりやすかったが、まとめて一辺に投与、しかも6~8クールのあいだエコーも見ないとしたら、その間に起こるであろう様々な試練、副作用に耐えながら医師を信じていくしかない。

    まず朝一番に今日も血液検査をしたようだ。朝食後にプレドニゾロンを服用。点滴開始の30分前になって解熱薬と抗アレルギー薬を服用。その後医師が点滴用のカテーテルを刺し、10時からトライアスロンのような点滴タイムのスタート。先ずはリツキサン注と生食が混ざった700mlほどの点滴を約4時間かけて流し込む。点滴の落下速度は50ml/hから始め30分置きに速めて行き最終的には400ml/hにしていた。その都度看護師の方が来て機械を調整すると同時に、時より脈、体温、血圧、酸素濃度、血糖値などを診ていた。

    リツキシマブの後、制吐剤を挟み、いよいよ抗がん剤ドキソルビシン、ビンクリスチンと続く。この2つは量は多くないのでどちらも5分程度で落とし終わるが、点滴漏れをする可能性が高く、しかも漏れたら皮膚が壊死してしまう危険な薬剤なので看護師もつきっきりでカテーテルを注意深く押さえながら行っていた。モイが鎮静剤を使い5回も投与したドキソルビシン、その危険性は頭ではよく理解していたが、実際にその赤い液体を見たのは初めてで、そうかこれがモイを助けてくれたのかと感慨深かった。看護師もこの時は白衣の上から薄い防護服のようなものを着て、顔の半分ほどを覆うメガネをかけ、当然マスクも手袋もしている。処置後すぐにその防護服を丸めてジップロックのようなものに入れ処分していた。使い捨てなのだろう。それほど取扱い注意なものなんだな。

    薬剤を替えるタイミングでは医療ミスを起こさないための工夫として、看護師がふたり来て一緒に薬剤の名称や量を口に出し読み上げ指差しチェックしていた。最後のシクロフォスファミドも量は多くないが生食500mlに希釈しながら点滴するので、ここからまた2時間。カテーテルを刺してあるのが右腕の肘の内側あたりだったので、親父がちょっと動く度に点滴が流れにくくなるのか、すぐ「閉塞」とランプがつき、ピロンピロンとナースステーションまで聞こえるアラームがなり、その度に看護師が手直ししに来ていた。10回以上あったかもしれない。全部終わったのが午後5時。最後に少量の生食で点滴のチューブの中を洗い流している際、親父が看護師に「これは針ば刺したとこにノリで蓋ばしよっとですか?」と分かりづらいボケをかましていた。俺譲り。

    実家に送っていた8月の猫町フェスのライブビデオを親父も見ていたようで、点滴のあいだにその感想をたっぷり語ってくれた。「あのむぎっちゅうのはバチを手に取るのがうまかばってん、えらい練習しとらすとやろねえ」「途中の寸劇のとこはちょっとダラダラしとったね。もうちょい分かりやすくせんと曲ばしらんもんにはなんばしよっとか分からんめーもん」、入院初日とあってまだまだ目も黒くボケてもいないようだ。どうか認知症になりませんように。

    7時間の点滴後もケロっとしていたが、今朝142だった血糖値が点滴後は382と跳ね上がっていて、糖尿病の父も流石の高値にちょっとびびっていた。ステロイドや点滴で上がるものではあるようだけど、一次的なものであればいいのだけれど。

    主治医が昨日の説明で「我々の仕事は副作用にどう対処していくかです。」と言っていたように、この後の2週間の入院生活が意味するものは副作用との闘いだろう。とくに5日後くらいから白血球も下がりシビアになってくると想像される。リハビリと歯磨き、この2点をとくに気をつけてやってほしいと先生が言っていた。歯磨きは1日に8回だそうだ。細菌感染、衛生面には厳重に気をつかっている印象。

    ようやく始まった治療。父の闘病生活は始まったばかり。モイの絵葉書がおまじないになりますように。

     

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