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先々週の血液検査の結果が送られてきた。

猫膵特異的リパーゼ(Spec fPL) 3.0(前回 >50.0 高 ) (基準値 <3.6μg/L )
SDMA  10(前回 11 )  (前々回  10)  (基準値 0~14μg/dL)

主治医のメモ
「異常は認められません。膵炎、腎不全のマーカーはいずれも参考範囲内の数値でした。吐き気や体重減少といった変化がない限り、リパーゼの定期チェックなどは必要ないと思われます。」

よかった。ひとまず膵炎は回避できているようだ。検査前から今に至るまでずっとモイも調子良さそう(吐きも落ち着いてきたし体重は微増して7kg目前)に暮らしているので、こういう結果になることは薄っすら期待していた。なので捕らぬ狸の皮算用で採血した際に、

「膵炎と診断された時はかなり数値が高かったですけど、今回基準値内に戻っていることはありえるでしょうか?」と質問したら「もちろんあります」という言葉をもらっていたわけだけれども、気になるのはその続きで、

「もしそうなったら前回のは急性膵炎だったということになるんでしょうか?」という質問には「いえ、猫の場合は急性膵炎という病態はあまりなく、慢性膵炎の急性期という捉え方をします。」という答えだった。
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その時に先生から聞いた膵炎のメカニズムの話をまとめておきます。

「猫の場合は急性膵炎という病態はあまりなく、慢性膵炎の急性期という捉え方をします。急性膵炎と慢性膵炎の違いは、専門的な話になりますが、炎症細胞の違いで、急性膵炎は膵臓がバイ菌感染して好中球(白血球の一種)がそれを倒しに向かい炎症が起きる状態。慢性膵炎は菌由来ではなく菌はいないのに勝手にリンパ球が膵臓に集まっているような、主にリンパ球性炎症と言われる状態。リンパ球性炎症はバイ菌が来た時のような激しい炎症ではなく、ずっとじわじわ起きているような炎症、一瞬燃え上がって消えるようなものではなく、基本的にはそこに残るもので、時に激しく出たり、くすぶったり、それを繰り返すことが多い。」

「では、膵炎と診断されたのは前回はじめてでしたが、これまでもモイが吐きが強かった時など以前にも膵炎になっていたことがあるんでしょうか?」

「その可能性もありますが、生まれつき持っているものではないので、普通は中高齢から発症しだします。まったく炎症細胞がいなかった膵臓に徐々にリンパ球が集まりだし、たむろしだして、時にそれがわっと増えると膵炎という形で現れます。今回のように何もしなくても自然に治まることもあるし、場合によってはステロイドでリンパ球を散らして治療します。猫の場合は比較的繰り返しやすいといえます。もちろんこれっきりということもありますが、今回のことをきっかけに今後起こりやすくなるかもしれません。」

「血液検査でリンパ球が多ければ慢性で、好中球が多ければ急性ってことなんですか?」

「いや、血液検査では分からないです。血液の中に出るのではなく膵臓の組織内に出るものなので、正確に診断するためには組織をとって病理検査するしかないのですが、猫の場合は基本的にはリンパ球性炎症のことがほとんどです。」

というような話であった。そうか、だからはっきり「膵炎です」と確定診断されたわけではなく「膵炎の診断を支持するものでした」というような言い方になっていたのかもしれない。

ふと疑問に思うのは、ずっと続けて来たリンパ腫のための免疫細胞療法のこと。採血したリンパ球を体外で培養し増やして、がん細胞をやっつけてもらうために体内に戻していたわけだけど、素人が安直に考えると、その増やしたリンパ球(T細胞)が膵臓に集まって慢性膵炎の起因となってしまう可能性もあるように思えてしまう。それとこれとは別ものなんだろうか、どうなんだろうか? 次回通院した時に先生に聞いてみようと思う。

もうひとつ次回確認したいのは、例えば毛玉だったり直接は膵炎と関係ない吐きから慢性膵炎がぶり返すことがあるのかどうか。吐く時にはなんらかしら内蔵に負担がかかるだろうからそれによって炎症細胞が活発化することがあるような気もするので、なんにせよ吐きには注意しておいた方がいいんだろうな。これっきり、これっきり、でありたい。

先日コロナ渦で放送されたNHKスペシャルが免疫とウイルスの話で、電子顕微鏡やCGで分かりやすく映像化されていて興味深かった。YouTubeに予告編があったので貼っておきます。



番組内でサイトカインストームについて語られているが、主治医も膵炎の話をしている時に「免疫が暴走して、」というような表現を使っていたので関連性あるんだろうな。

この番組と同じようなことがとても詳しく語られている久留米医大(←父がリンパ腫で入院した)の免疫講座サイト(トップページなので見るタイミングによって内容が変更されている可能性があります。7月17日 第26版という記事です)。

「はたらく細胞」の映画化も楽しみ 
 

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モイのリンパ腫が発覚した直後友人が送ってくれたifペンダント。あれからずっと首輪に着けている。同じものをウニにプレゼントしてみたけどウニは一瞬で外しはった。何が健康に役立っているか正直ほんと分からないからなあ、ウニも着けてくれたらいいんだけどなあ。

このブログのカテゴリーに「膵炎」「尿疾患」「父」を遅れ馳せながら追加しました。