8日夜、180mlの皮下輸液。自宅での補液は4年半ぶりだったけど2年半も続けていたのでモイも身体が覚えているのか身体を保定したらおとなしくしてくれた。22時から絶食開始。
9日、朝6時半に抗不安薬(抗てんかん薬)ガバペンチン投与。8時に家を出る。車中で薬が効きはじめたのか、少しだけ口が開き、ぼーっとした感じもあったが、キャリーから上半身を乗り出し車窓を楽しむなどいつもの通院時とさほど変わらず。
9時に病院着。「今日は手術2.5の予定です。1つは手、1つは尻尾、0.5は可能であれば歯石とり」と先生が手際よく確認をとり、術前検査のための採血。
猫専用待合室で待つこと10分ほどで血液検査の結果が出る。赤血球(RBC)やヘマトクリット値(HCT)がやや低いことから非再生性貧血が疑われるとの指摘。炎症などで慢性的に出血しているような状態だろうと。やはり膵炎の影響もあるのだろうか。聞いた感じ多分これも治りづらい症状なんだろうな、今後の懸念材料になりそう。でも全般的に数値は手術できないほどの状態ではないとの判断で予定通りモイを預け10時頃病院をあとに。
会計カウンターの壁に「麻酔器、新調しました。人工呼吸器が付属した人の全身麻酔でも使用されるもので麻酔からの覚醒が速やかです」という手書きの案内を見つけ、ちょっと安心する。
病院ではその後X線画像検査が行われ、点滴がされ、13時に外来の腫瘍外科医の先生により手術が開始された模様。
病院から近い初めての街のショッピングモールで夕方5時まで待つことに。7年前リンパ腫闘病中もよくこうやって街で待っていた。さすがに7時間は長いなと思ったけど意外と時間が経つのは早い。
15時10分、先生から携帯電話に着信。ザワザワしたショッピングモールの中で耳に全集中する。「無事手術が終わりモイちゃん目覚めています。」「手術中にちょっと不整脈が出たので歯石は取れませんでした。」と。大きな安堵と一抹の不安が。不整脈ってどういうことだろう。迎えに行った時に詳しく聞かなければ。
17時、病院へ。この病院は猫待合室と処置室が扉一枚なので、開いた扉の向こうに点滴を刺したまま入院用ケージに入っているモイが視界に入った。
瞳孔が完全に開いていて、全体が緑色に見える瞳で一点をぼーっと見つめている。見つめているというよりただ目が開いているだけの状態。麻酔がまだ効いているようで視線は合わないし意思の疎通はできない。「モイ!がんばったね!」「モイ、迎えに来たよ」「モイ!モイちゃん!」呼びかけへの反応も皆無。
先生がモイを診察室へ運んでくる際、ウーウーと聞いたことのない唸り声を出すモイ。でもまったく力強さはない。寝言で唸っているような声。診察台に乗せてもまだ力が全然入らず立つことはできない。右前肢には血が滲み4針ほど縫った糸の先が無造作に逆だっていて痛々しい。尻尾は術部を完全にテーピングされた状態で、かろうじて残された先っぽの毛がお侍さんのようにも見えてちょっと可愛い。しかし毛がないとこうも細いんだな尻尾って。
手術は右前肢の肥満細胞腫、尻尾の毛芽腫の順に切除されたそうで、尻尾の方がやはりデリケートで全体で1時間ちょいの手術だったそうだ。尻尾は目指していた減張切開での縫合ができたとのこと。よかった。麻酔の影響と思われる不整脈はたまに起こることのようで、意識が戻ってからはその兆候はない、と。
2か所の手術自体はうまくいったようだが、麻酔からの覚醒が想定より遅いのが気になる様子の先生。「ひょっとしら今朝飲んだガバペンチンが麻酔によってブーストして今はそれが効いているのかも」と。先生が断定的な物言いではないとこちらも俄然不安になる。
「どうされますか?帰宅し家でゆっくり様子をみてもらうか、不安であれば点滴を継続し一泊入院していただくことも」と聞かれたが、この時点でモイはくたーっとまったく力が入っておらず呼びかけにもまったく反応しないのでどうするべきが判断できない。入院に向かない性格のモイをできれば連れて帰りたいが、この状態だと家で何が起こるか分からない。迷っていたら、「ではもうしばらくここでこのまま様子をみてみましょう」とふたつある診察室のひとつをモイと僕ら家族だけにしてくれた。
それから1時間ずっとモイを抱っこして名前を呼び続けるが反応はない。たまに床に下ろすと歩きたそうにはしているが手足とも力が入らずぐねぐね倒れそうに転がっているような状態。とくに下半身は力が入らず腰が抜けたようになっている。全身麻痺といってもいいような状態だが右手だけはさっき診察室に来てから先生が巻いてくれたガーゼが気になるようで時おり激しく振り出す。
映画「カッコーの巣の上で」での廃人にされたジャック・ニコルソンの演技が脳裏に浮かぶ。見た目はモイなのに、まったくの抜け殻のような、心を通わすことができない物体だけがある恐怖。
光明があるとすれば先生と看護師さんが診察室に居た時はウーウー唸っていたが家族だけになった時からそれが止んだこと。その一点だけでもモイが僕らを感じてくれている気がして少し安堵した。
入院したとしてもこの病院には夜間人がいなくなるということが分かったので、連れて帰る決意をした。もしも家で何か不測の事態が起きた時のために夜間の緊急外来の情報も教えていただいた。その際に役立つだろうとオペの記録用紙をコピーしてくれた。分単位で処置の内容や麻酔のこと脈数などが書いてあるっぽいが専門的で簡単には読解不能。手術がきめ細かに行われたことだけは分かる。
術後用にもらった抗生剤(リレキシペット)と消炎鎮痛剤(メタカム)、それからもし明日になっても何も飲み食いできなかった時のための輸液セットも追加してもらい18時過ぎに病院をあとに。
帰路はすっかり暗くなっていたが家が近づくと少し意識が戻ったのか、おぼつかないながら必死にキャリーから身を乗り出し流れる景色をぼーっと見つめたモイ。
19時過ぎに帰宅。
家に帰ってもぐたっとしまだ立つことができないモイ。モイの異変を察知したウニは警戒ししばらく寝室から出てこない。
クッションの上でしばらく横になるモイ。でも完全に眠れないのか目は軽く開いたまま。1時間ほどしてトイレに行きたくなったのか動きだそうとするが未だに力が入らず陸に打ち上げられた魚のように身をよじりながら廊下を歩く。なんとかトイレに片足だけ入れて透明のオシッコをした。
麻酔から覚めるのにさすがに時間がかかり過ぎているような気がして「麻酔 後遺症 下半身麻痺」など検索して余計に不安が募る。
21時7分 背中を撫でると初めてゴロゴロとかすかに喉を鳴らしはじめた。不調の時にもゴロゴロいうらしいけれどとにかくリアクションらしきものがあっただけでも少し安心した。SNSを通して気にかけてくれている方も沢山いるのでひとまずインスタだけ簡単に更新。
もらってきた抗生剤は夜ご飯の後からということだったが、まだまだ意識が朦朧としているこの状態でご飯を食べるのは危険と思い本人もそんなに食べたそうにもしていないので様子をみることに。
夫婦で交代で様子を見ることにし、23時、僕は仮眠。
10日午前1時に目が醒める。妻はモイの側につきっきりだった様子。ずっとキャリーケースの中で休んでいるモイ、1時間くらい前にようやくウェットフードの水分だけを舐めたそうだ。その後も30分に1度くらいキャリーから出てきてはウェットフードを一口だけ食べる。だんだん固形部分も食べるようになってきた。足元も徐々にしっかりしてきて歩けるようになってきた。数時間前は下半身不随になってしまったら、、、と良からぬことを考えてしまったが、どうやらそれはなさそうだ。すごく安心した。
ただ午前4時現在まだ大人しすぎるモイ。呼びかけると軽く耳が動くようになったのが救い。覚醒しきっていないおかげなのか手や尻尾を気にする様子はない。そういえば尻尾はまだ動いていないような気がする。結局、交代で夜通しモイの様子を見た。ウニも情緒不安定なのか珍しく吐いた。
今回、歯石取りはできなかったけど、こんな様子では改めていつか麻酔をかけてという気にもなれない。それに不整脈があったというのも怖すぎる。現時点では懸念ばかりが残っているけれど、2ヶ所の腫瘍を運良く同時期に見つけ割と早期(と思いたい)に切除できたことはよかったと思う。切除した部分の病理組織検査は1週間後には結果が出るらしい。どうか根っこから綺麗に取れていますように。
9日、朝6時半に抗不安薬(抗てんかん薬)ガバペンチン投与。8時に家を出る。車中で薬が効きはじめたのか、少しだけ口が開き、ぼーっとした感じもあったが、キャリーから上半身を乗り出し車窓を楽しむなどいつもの通院時とさほど変わらず。
9時に病院着。「今日は手術2.5の予定です。1つは手、1つは尻尾、0.5は可能であれば歯石とり」と先生が手際よく確認をとり、術前検査のための採血。
猫専用待合室で待つこと10分ほどで血液検査の結果が出る。赤血球(RBC)やヘマトクリット値(HCT)がやや低いことから非再生性貧血が疑われるとの指摘。炎症などで慢性的に出血しているような状態だろうと。やはり膵炎の影響もあるのだろうか。聞いた感じ多分これも治りづらい症状なんだろうな、今後の懸念材料になりそう。でも全般的に数値は手術できないほどの状態ではないとの判断で予定通りモイを預け10時頃病院をあとに。
会計カウンターの壁に「麻酔器、新調しました。人工呼吸器が付属した人の全身麻酔でも使用されるもので麻酔からの覚醒が速やかです」という手書きの案内を見つけ、ちょっと安心する。
病院ではその後X線画像検査が行われ、点滴がされ、13時に外来の腫瘍外科医の先生により手術が開始された模様。
病院から近い初めての街のショッピングモールで夕方5時まで待つことに。7年前リンパ腫闘病中もよくこうやって街で待っていた。さすがに7時間は長いなと思ったけど意外と時間が経つのは早い。
15時10分、先生から携帯電話に着信。ザワザワしたショッピングモールの中で耳に全集中する。「無事手術が終わりモイちゃん目覚めています。」「手術中にちょっと不整脈が出たので歯石は取れませんでした。」と。大きな安堵と一抹の不安が。不整脈ってどういうことだろう。迎えに行った時に詳しく聞かなければ。
17時、病院へ。この病院は猫待合室と処置室が扉一枚なので、開いた扉の向こうに点滴を刺したまま入院用ケージに入っているモイが視界に入った。
瞳孔が完全に開いていて、全体が緑色に見える瞳で一点をぼーっと見つめている。見つめているというよりただ目が開いているだけの状態。麻酔がまだ効いているようで視線は合わないし意思の疎通はできない。「モイ!がんばったね!」「モイ、迎えに来たよ」「モイ!モイちゃん!」呼びかけへの反応も皆無。
先生がモイを診察室へ運んでくる際、ウーウーと聞いたことのない唸り声を出すモイ。でもまったく力強さはない。寝言で唸っているような声。診察台に乗せてもまだ力が全然入らず立つことはできない。右前肢には血が滲み4針ほど縫った糸の先が無造作に逆だっていて痛々しい。尻尾は術部を完全にテーピングされた状態で、かろうじて残された先っぽの毛がお侍さんのようにも見えてちょっと可愛い。しかし毛がないとこうも細いんだな尻尾って。
手術は右前肢の肥満細胞腫、尻尾の毛芽腫の順に切除されたそうで、尻尾の方がやはりデリケートで全体で1時間ちょいの手術だったそうだ。尻尾は目指していた減張切開での縫合ができたとのこと。よかった。麻酔の影響と思われる不整脈はたまに起こることのようで、意識が戻ってからはその兆候はない、と。
2か所の手術自体はうまくいったようだが、麻酔からの覚醒が想定より遅いのが気になる様子の先生。「ひょっとしら今朝飲んだガバペンチンが麻酔によってブーストして今はそれが効いているのかも」と。先生が断定的な物言いではないとこちらも俄然不安になる。
「どうされますか?帰宅し家でゆっくり様子をみてもらうか、不安であれば点滴を継続し一泊入院していただくことも」と聞かれたが、この時点でモイはくたーっとまったく力が入っておらず呼びかけにもまったく反応しないのでどうするべきが判断できない。入院に向かない性格のモイをできれば連れて帰りたいが、この状態だと家で何が起こるか分からない。迷っていたら、「ではもうしばらくここでこのまま様子をみてみましょう」とふたつある診察室のひとつをモイと僕ら家族だけにしてくれた。
それから1時間ずっとモイを抱っこして名前を呼び続けるが反応はない。たまに床に下ろすと歩きたそうにはしているが手足とも力が入らずぐねぐね倒れそうに転がっているような状態。とくに下半身は力が入らず腰が抜けたようになっている。全身麻痺といってもいいような状態だが右手だけはさっき診察室に来てから先生が巻いてくれたガーゼが気になるようで時おり激しく振り出す。
映画「カッコーの巣の上で」での廃人にされたジャック・ニコルソンの演技が脳裏に浮かぶ。見た目はモイなのに、まったくの抜け殻のような、心を通わすことができない物体だけがある恐怖。
光明があるとすれば先生と看護師さんが診察室に居た時はウーウー唸っていたが家族だけになった時からそれが止んだこと。その一点だけでもモイが僕らを感じてくれている気がして少し安堵した。
入院したとしてもこの病院には夜間人がいなくなるということが分かったので、連れて帰る決意をした。もしも家で何か不測の事態が起きた時のために夜間の緊急外来の情報も教えていただいた。その際に役立つだろうとオペの記録用紙をコピーしてくれた。分単位で処置の内容や麻酔のこと脈数などが書いてあるっぽいが専門的で簡単には読解不能。手術がきめ細かに行われたことだけは分かる。
術後用にもらった抗生剤(リレキシペット)と消炎鎮痛剤(メタカム)、それからもし明日になっても何も飲み食いできなかった時のための輸液セットも追加してもらい18時過ぎに病院をあとに。
帰路はすっかり暗くなっていたが家が近づくと少し意識が戻ったのか、おぼつかないながら必死にキャリーから身を乗り出し流れる景色をぼーっと見つめたモイ。
19時過ぎに帰宅。
家に帰ってもぐたっとしまだ立つことができないモイ。モイの異変を察知したウニは警戒ししばらく寝室から出てこない。
クッションの上でしばらく横になるモイ。でも完全に眠れないのか目は軽く開いたまま。1時間ほどしてトイレに行きたくなったのか動きだそうとするが未だに力が入らず陸に打ち上げられた魚のように身をよじりながら廊下を歩く。なんとかトイレに片足だけ入れて透明のオシッコをした。
麻酔から覚めるのにさすがに時間がかかり過ぎているような気がして「麻酔 後遺症 下半身麻痺」など検索して余計に不安が募る。
21時7分 背中を撫でると初めてゴロゴロとかすかに喉を鳴らしはじめた。不調の時にもゴロゴロいうらしいけれどとにかくリアクションらしきものがあっただけでも少し安心した。SNSを通して気にかけてくれている方も沢山いるのでひとまずインスタだけ簡単に更新。
もらってきた抗生剤は夜ご飯の後からということだったが、まだまだ意識が朦朧としているこの状態でご飯を食べるのは危険と思い本人もそんなに食べたそうにもしていないので様子をみることに。
夫婦で交代で様子を見ることにし、23時、僕は仮眠。
10日午前1時に目が醒める。妻はモイの側につきっきりだった様子。ずっとキャリーケースの中で休んでいるモイ、1時間くらい前にようやくウェットフードの水分だけを舐めたそうだ。その後も30分に1度くらいキャリーから出てきてはウェットフードを一口だけ食べる。だんだん固形部分も食べるようになってきた。足元も徐々にしっかりしてきて歩けるようになってきた。数時間前は下半身不随になってしまったら、、、と良からぬことを考えてしまったが、どうやらそれはなさそうだ。すごく安心した。
ただ午前4時現在まだ大人しすぎるモイ。呼びかけると軽く耳が動くようになったのが救い。覚醒しきっていないおかげなのか手や尻尾を気にする様子はない。そういえば尻尾はまだ動いていないような気がする。結局、交代で夜通しモイの様子を見た。ウニも情緒不安定なのか珍しく吐いた。
今回、歯石取りはできなかったけど、こんな様子では改めていつか麻酔をかけてという気にもなれない。それに不整脈があったというのも怖すぎる。現時点では懸念ばかりが残っているけれど、2ヶ所の腫瘍を運良く同時期に見つけ割と早期(と思いたい)に切除できたことはよかったと思う。切除した部分の病理組織検査は1週間後には結果が出るらしい。どうか根っこから綺麗に取れていますように。